場面緘黙症を取り上げた「ザ!世界仰天ニュース」の内容紹介と感想(2017年3月1日放送)

2017年3月1日、日本テレビ系列「ザ!世界仰天ニュース」にて場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)が取り上げられました。僕は当日になって放送を知ったので、慌てて録画予約をしつつ見てみることにしました。

▼目次

  • はじめに
  • 放送の具体的な内容
  • 感想
    • 「話したいのに」が強調されていて良かった
    • 特に共感したところ
    • 自分がまだ学校に通っていたとしたら放送の影響が少し怖い
    • 「結局は恋人か」というわけではないと思う
    • 個人差に触れてもらいたかった
  • おわりに

はじめに

番組ホームページには、放送内容について以下のような記述がありました。(次回予告として掲載されていたので、放送後は消えている可能性があります。)

無口な少女の心の秘密
家では普通におしゃべりできる活発な女の子。
しかし幼稚園や学校ではほとんど声を出すこともできない。
しゃべれないことが恥ずかしくて、両親にも相談できない。
「場面緘黙症」に苦しむ少女…その心に潜む謎とは?

http://www.ntv.co.jp/gyoten/

今回の放送は「子どもの心に潜む謎スペシャル」ということで、「場面緘黙症」に苦しむ女の子の心に潜む謎について迫るという内容になっているみたいです。

この記事では、その内容の紹介と場面緘黙の症状を経験した管理人の感想を書いていきます。

放送の具体的な内容

録画したのを見返しつつ、放送された内容を追いながら書いていきます。なお、著作権などの問題で画面キャプチャは載せていないので、あらかじめご了承ください。

番組では、入江紗代さんという女性に焦点を当てて進んでいきます。

入江さんは幼い頃から家族の中ではムードメーカー的存在で、明るく活発な女の子でしたが、初めての集団生活となる幼稚園では家の中とは異なり、喋ることができませんでした。同じ幼稚園の子や先生に質問されても答えることができないのです。家の中や、昔からの幼馴染の前ではよく喋ることができるのに、です。

VTRでは、ここで場面緘黙症の説明が入りました。テロップやアナウンスを合わせたものは以下の通り。

言葉を理解し話す能力はあるが特定の場所で声を出せなくなる不安症。0.15%の割合で存在すると言われており、2歳から5歳の間で発症することが多い。声を聞かれることや話している姿を見られることに恐怖を感じ、極度の緊張状態になり声が出ない。

この説明がなされたうえで、「体の中で何が起きているのか?」という疑問を児童青年精神科医で尾山台すくすくクリニックの院長を務める新井慎一医師にぶつけます。

新井医師は、ひとつの説として「不安に関係している脳の中の偏桃体が過敏に反応し、自分が喋っているのを見られる聞かれるという状況になった時、脳の中で勝手に緊張してしまい、声を出すという部分の緊張が解けない状態に、脳が勝手にそうなってしまっている状態ではないか。」と考えられると答えました。

VTRは入江さんの小学校での様子に切り替わります。

クラスでの席替え。隣の席の子に「一番後ろの席っていいよね?」と話しかけられるも、やはり声を出すことができない入江さん。クラスメイトからは次第に「いつも不満そう」「感じ悪いよね」と思われるようになっていたという描写がされていました。

入江さんは楽しく話せるよう家で会話の練習をぬいぐるみ相手にしていましたが、学校に行くとやはり言葉が出ません。また、話すことのできる家族と一緒にいても、そこに同級生が現れて声をかけられた瞬間、喋ることができなくなってしまいました。

しかし、入江さんはどうしてそうなってしまうのか、どう説明していいのか自分でも分かりませんでした。「話せない変な子」と思われないよう常に笑顔で大きくうなずくのを心がけていたそうです。

ところが、授業中の教科書の朗読では小さい声で読むのがやっとで、先生に注意されてしまいます。実際の通信表でも「発言できなかったことが残念」というようなことが書かれていました。

そんな入江さんを母親は気に掛けることもあったようですが、話せない自分を恥じていた入江さんは、事実を打ち明けることができず、ひとりで悩みを抱え込んでいたそうです。

ここでVTRは一旦中断。VTRに登場していた新井医師がスタジオで場面緘黙症についての解説を始めます。

その主な内容として、まず小児期の有病率を紹介していました。紹介されたデータは、7万7千人ほどを対象にした「2015年 神戸市公立小学校における調査」から得られたもので、0.15%(667人に1人)の小学生に場面緘黙症の子がいたとのことです。

また、人見知りとの違いについては、以下のように解説されていました。

人見知り
相手に不安を感じるが、何回も会っていたり、長い時間過ごしたりして、緊張が解けてきて慣れれば話すことができる。
場面緘黙症
相手というよりも自分が話しているのを人に見られたり聞かれたりすることに不安・恐怖を感じる。声を出すということに不安のスイッチが入ってしまう。一度ある状況(相手・場所・活動)で話せないと、その同じ状況・パターンでは喋れなくなり、それがずっと続いてしまう。

さらに、治療法のひとつとして、段階的曝露(ばくろ)法についても話されていました。これは簡単に言うと「徐々に慣らす」ということなのだそうです。

例えば、楽しい活動をしているときは緊張感が下がり喋りやすくなるということで、喋れないものの仲の良い友達を家に呼んで、遊んでいるうちにうっかり喋ることができてしまうと、その友達とは喋れるようになったりするそうです。

ここで再び入江さんのVTRへ。

家では話すことができるのに学校では声を出すことができなくなってしまう、という悩みを抱えたまま成長した入江さんは、次第に人を避けるようになり、孤独な高校生活を送っていました。

しかし、そんな自分を変えたいということで、高校卒業後は地元を離れて東京の大学へ進学。とある日、同じ授業をとっていた1つ年上の男性からノートを見せてもらえないかと声をかけられます。

それ以降、彼は会うたびに声をかけてくれるようになったとのこと。そして、自分が特に話をしなくても気にしない様子の彼とは、少しずつ話せるようになっていったそうです。

ところが、彼と一緒に話しているときでさえ、彼の友人が現れ、質問をされると途端に声が出なくなってしまいます。この場面が流れた時、スタジオでは「これでもダメなんだ…」と驚きの声があがっていました。

(ここでCM)

入江さんは、彼に初めて自分の悩みを打ち明けます。幼い頃からごく限られた人以外の前では話したくても声がでなくなること、自分でもなぜそうなるのか分からないこと、そしてそれを知られることを恐れ続けてきたことを。

すると彼は「俺もできないこととか結構多いよ。話せないからってさ紗代の中身は変わらないだろ。」と答え、入江さんは全てを打ち明けても受け止め、支えてくれる人がいるということに嬉しくなったそうです。

やがて彼のすすめで雑貨店でアルバイトを始め、少しずつ人と話せるように。そして27歳の時、インターネットで偶然場面緘黙症の存在を知ることになりました。

その後、話す練習を重ね、番組の取材を受けられるまでになったとのことです。

ここでVTRが終わり、スタジオトークに移りましたが、場面緘黙症に直接関係ある内容ではなかったので割愛。

スタジオトーク後には入江さん本人が出演されたVTRが流れ、「毎日働くことで、少しずつ少しずつ何が怖かったのか向き合うことができたので、少しずつ自信が付いて、自分でも気付いたら話せるようになっていたので、うれしかったですね。」と語りました。

最後に、入江さんは大学時代に出会ったあの彼と結婚し、現在は場面緘黙症の認知活動を行っているとアナウンスで紹介され、今回の場面緘黙症に関する放送内容は終了となりました。

感想

あくまで個人的な感想です。場面緘黙の症状を経験した人すべてが同じ感想を持っているわけではありませんので、その点はあらかじめご了承ください。

「話したいのに」が強調されていて良かった

場面緘黙症に対する誤解として、「わざと話さないでいるんでしょ?」というものがありがちですが、その誤解を招かないよう配慮されていたように感じます。

アナウンスやテロップなどで「話したいのに話せない」ということが繰り返し表現されていたり、自分の意思によらず不安感や恐怖感が生じることで声を出せなくなってしまうと説明したりしました。

この放送で初めて場面緘黙症の存在を知った人は多いと思われますが、そこで生じる「なんで喋れないの?」という疑問に誤解を生むことなく答えを示していて良かったなと思いました。

特に共感したところ

番組終了後にこんなツイートをしたのですが、特に「学校では笑顔や大きく頷くのを心がけた」という点は、まんま自分ではないかと驚きました。話せない変な子だと思われないように、本当はみんなと仲良くしたいんだよと示すために、毎日そうしていましたね。

自分がまだ学校に通っていたとしたら放送の影響が少し怖い

僕はもう20代後半ですが、もし小中高生時代だった時にこの番組が放送されていたら、登校後の同級生の反応が不安になっていたことでしょう。

というのも、【緘黙】「あって言って」のジレンマなどで書いているように、喋れないことをからかったり馬鹿にしてきたりする人がいたからです。そのような人たちが今回の放送を見て、喋れないことをさらに悪く言うのではと不安になっていたに違いありません。

僕は当時から「喋りたいのに喋れない」ことを知ってもらいたかったので、このような放送はありがたくも感じたと想像できますが、一方で変な注目を集めてしまわないかと不安になっていたこともまた容易に想像できます。

また「不安になることなんてないよ?大丈夫だよ?喋りな喋りな。」とプレッシャーをかけられてしまわないか、というのも心配ですね。

「結局は恋人か」というわけではないと思う

番組での終わり方が「大学で出会った彼と結婚し~」というものだったことが少なからず影響してか、「結局は恋人ができないとダメなのか」とか「結婚までした成功者のパターンで参考にならない」みたいな感想もネットで見られました。

しかし、個人的には何も恋人という存在の有無こそが絶対というわけではないと思います。

大事なのは、番組内でもアナウンスで言っていた「自分が喋れなくても気にしないで話しかけ続けてくれる人」の存在なのではないでしょうか。その相手は必ずしも恋人である必要はなく、同級生だったり教師だったり、支援してくれる人だったり、何でもいいのだと思います。

僕個人のケースですが、同級生が毎日話しかけてくれたことが症状改善のひとつのきっかけとなったので、年齢や性別を問わず「自分が喋れなくても気にしないで話しかけ続けてくれる人」と巡り合えるか、がポイントなのではないかと番組を通して改めて考えさせられました。

個人差に触れてもらいたかった

場面緘黙症がどのようなものなのか、初めて聞いた人でもイメージしやすいように番組は作られていたと思いますが、やはり個人差については触れるべきなのではないかと思いました。

特定のひとりに焦点を当て、その歩みをVTRにまとめることで非常に分かりやすく伝えることができる反面、場面緘黙症=入江紗代さんのケース、みたいな単一的なイメージを多くの人に植え付けかねません。

もちろん、本番組は場面緘黙症専門の番組ではなく、「こういうのがありますよ」というものの1つとして場面緘黙症が取り上げられたため、複数人に取材して…VTRを作って…というのは難しいとは思いますが、アナウンスなりテロップなり、それこそ医師の解説において症状には個人差がある、と明確に示してほしかったなと強く思います。

今回番組で紹介されたケースでは、教科書を小さい声ながら読むことができていましたが、全くできないケースもあります。学校ではなるべく笑顔をつくり、大きく頷くように心がけていたとありましたが、それすらできないケースもあります。

他にも、家では全く話せないけど外では話せたり、どんな相手や状況でも話せなかったり(全緘黙)、声だけでなく身体の動きまでも硬直してしまったり(緘動)、実に様々なケースがあり、その症状の出方もまた人それぞれです。

30分にも満たない時間でまとめるのは不可能だと思いますが、「話したいのに」という点への配慮のすばらしさを考えると、個人差への配慮がなかったのが非常に惜しく感じました。

とはいえ、多くの人に場面緘黙症というものを認知させたことには大きな意義があったと思いますし、その点は本当に感謝しています。

おわりに

長くなってしまいましたが、番組の内容と個人的な感想をまとめてみました。

この番組がきっかけで検索した結果この記事に辿り着いた方もいると思います。当ブログでは場面緘黙カテゴリで僕自身の体験談などを書いているので、興味のある方はぜひそちらもご覧いただければと思います。

また、体験談という意味では、『私はかんもくガール』という本もおすすめです。

『私はかんもくガール』を読んだので紹介しますという紹介記事でも書いたように、コミック形式で読みやすかったですよ。

それでは今回はこの辺で。最後までありがとうございました。

場面緘黙症を取り上げた「ザ!世界仰天ニュース」の内容紹介と感想(2017年3月1日放送)

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エヌジマ

俗に言うアラサーの男です。過去には学校などの特定の場面で話せなくなる場面緘黙(かんもく)を経験。自分の日常や「紹介したい!」と思ったモノ・コトを中心にいろいろ書いています。詳細は当ブログについてをご覧ください。

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