『私はかんもくガール』を読んだので紹介します

私はかんもくガール: しゃべりたいのにしゃべれない 場面緘黙症のなんかおかしな日常

このたび「本・読書」カテゴリを新設しました。厳密な意味での書評は僕にとって難しいので、読んだ本を紹介するという形でやっていきたいと思います。

今日紹介するのは、『私はかんもくガール: しゃべりたいのにしゃべれない 場面緘黙症のなんかおかしな日常』という本です。

読もうと思ったきっかけは、僕自身が場面緘黙の経験者であり、他の経験者の「人生」について興味を持ったためです。どのようなことを感じ、また考えて生きている(きた)のだろう。そんな好奇心が生まれ、何か良い本は無いかなと探していた時に出会いました。

いざページをめくってみると、表紙(ページ内上部画像)から伝わる親しみやすさそのままにコミック形式で書かれていたため、スラスラと読み進めることができました。

本の大まかな流れとしては、著者の幼少時代・小学生時代・中学生時代・高校生時代・大学生時代・社会人時代を順に振り返る形式となっており、その日常における(おそらく著者にとって印象的だったと思われる)出来事や、それに付随する著者自身の感情・思考がイラストによって赤裸々に表現されています。

イラストを用いているところがポイントで、文章だけでは見えて来づらい内面の動きを容易に読み取ることができ、場面緘黙当事者でなくとも、その心理が理解しやすい本であると言えるでしょう。

また、この本はそれだけではありません。

「場面かんもく」とは、家ではごくふつうに話すのに、幼稚園や学校など特定の社会状況で話せないことが続く症状です。発話だけでなく、動作がぎこちなくなる、うなずきやジェスチャーができない子どももいます。
『私はかんもくガール』、p.21。

このような専門家による解説をところどころ挟むため、場面緘黙に関する簡単な知識を少しずつ身につけることもできます。

以上から、特に場面緘黙当事者の心理を知りたい方(緘黙の症状があるお子さんを持つ親御さんなど)や、場面緘黙に興味はあるものの「どの本を読んでみたらいいのか見当もつかない」なんて方におススメしたい本です。

しかし、著者が「この本はあくまでひとりの発症者の体験記であり(p.6)」と記しているように、同じ緘黙でも発症要因や性格、症状の出方には個人差があるという点には留意する必要があるでしょう。

また、読んでいて「これは誤解を招きかねないかもしれない」と思える箇所があったので紹介します。

それは「自分からしゃべらなくてイイ(p.12)」や「外で話さなくてもイイのよ(p.15)」という著者の決意です。

明確な発症原因は現時点では分かっていない、複合的な要因で発症すると考えられている、といった知識を持たない状態でこの箇所を読むと、「喋れないのではなくて意図的に喋らないだけではないか」と読み取ってしまう恐れがあります。

喋らないのは「わざと喋らないでいるのだ」とよく誤解されがちですが、実際は異なるのでご注意くださいね。

さて、元・当事者のひとりとして個人的な感想を書かせていただきますと、読みながら共感できるところが非常に多くありました。

例えば、「あって言ってみて」と言われたり、話せないけどこっちを見てほしい時があったり、普段喋らないのに(から)声を出すとからかわれたり、挙げればキリがないほど「あるある」「そうそう」と頷けるシーンがあり、自分だけじゃなかったんだなと思えました。

ただ、そのように楽しみながら読むことができたのは、著者の描く明るい絵のおかげであるとともに、緘黙をある程度克服した後に読んだことも影響していそうです。

そのため、現在進行形で緘黙に苦しんでいる当事者の方、特に二次障害的に抑うつ状態に陥ってしまっている方に対しては、その辛さが分かる手前、「苦しんでいるのは自分だけじゃない」と安心感を得られる可能性がある一方、緘黙の追体験をすることで気が滅入ってしまう可能性もあるため、読むことを無下にすすめることはできません。

この記事をはじめ、Amazon等のレビューに目を通したうえで判断していただくのが良いのかなと思います。

最後に、本の紹介という趣旨からズレてしまいますが、著者には心から感謝したいです。

彼女の人生を通し、改めて昔の自分を理解・整理することができました。

また、取っつきやすいコミックエッセイ形式での『私はかんもくガール』出版は、緘黙を広く知ってもらうきっかけを生んだに違いありません。「恥をしのんで大カミングアウト(p.141)」してくださり、本当にありがとうございました。

『私はかんもくガール』を読んだので紹介します

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エヌジマ

俗に言うアラサーの男です。過去には学校などの特定の場面で話せなくなる場面緘黙(かんもく)を経験。自分の日常や「紹介したい!」と思ったモノ・コトを中心にいろいろ書いています。詳細は当ブログについてをご覧ください。

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