『かんもくって何なの!?』を読んだので紹介します

今日紹介するのはモリナガアメさんの『かんもくって何なの!?: しゃべれない日々を脱け出た私』という本です。

この本を購入した理由として、僕自身が場面緘黙の経験者であることが大きいです。以前『私はかんもくガール』を読んだので紹介しますという記事でも書いたように、他の経験者の「人生」について興味を持っていたからです。

去年の6月には購入していたこの本。個人的に場面緘黙のことを考えたくない時期が続いており、これまで読めていませんでした。

しかし、最近になって場面緘黙に関する記事も書けるようになったので、眠らせてしまっていた『かんもくって何なの!?』を読むことにしたのです。

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どんな本?

いざページをめくってみると、親しみやすいコミック形式で書かれていたため、一気に読み進めることができました。基本的には可愛らしい絵柄なのですが、シリアスな場面などでは「怖さ」を感じさせる絵柄となっており、当時の感情が痛いほどに伝わってきました。

本の大まかな流れとしては、著者の幼少時代・小学生時代・中学生時代・高校生時代・社会人時代を順に振り返る形式となっており、リアルな感情や思考がイラストによって包み隠さず表現されています。

また、この本には現在日本緘黙研究会の会長を務める加藤哲文さんも参加しており、場面緘黙に関する解説をところどころで挟むため、簡単な知識を学ぶこともできます。

全体の流れであったり、専門家の解説を挟んだり、といった点は『私はかんもくガール』と似ていますね。(…と思ったら同じ出版社から販売されていました)

この『かんもくって何なの!?』も話せるようになったところで終わるのではなく、場面緘黙経験からくる後遺症的なものに悩んだりと、その後の人生についても描かれています。

以上から、『私はかんもくガール』とともに元・場面緘黙の方や「場面緘黙に興味はあるけどいきなり専門書は難しそう……」なんて方におススメしたい本です。

しかし、著者が「このお話は狭い世界の中で生きてきた個人の出来事です。(p.4)」や「症状や私の性格についても、他の当事者の方々にすべて当てはまるわけではないことをご了承していただき、参考にしていただければ幸いです。(p.4)」と記しているように、本人の性格、症状の出方には個人差が存在するという点には留意して読む必要があるでしょう。

また、いわゆる「機能不全家族」に関する描写が多く出てくるため、この本を読んだ場面緘黙の子を持つ親御さんなんかは「自分たちに全て原因がある」と捉え、悪い方向に進んでしまうかもしれません。

確かにこの本の描かれ方だと、家庭環境が緘黙の症状が出るようになったひとつの要因であると思えそうなのですが、その要因についても当事者一人ひとり事情が異なってきます。

著者ご本人も「自分の小さな頃の気質的にあの家庭環境でなくとも場面緘黙を発症していたのかも……と今は考えています。(p.185)」と振り返り、「場面緘黙は親が原因である」という考えの広がりを危惧されております。

上でも触れたように、あくまで一人の当事者が語る体験談として参考にすべきだと思います。

個人的な感想

同じ場面緘黙経験者の一人として、自分と同じだなあと共感できるところが多くありました。

大人しくて固まっていたことから「仏像」と子どもの頃に呼ばれていた経験が本の中で出てくるのですが、僕も痛くても何も言わない=感情がないということで「サイボーグ」と言われたことあったなあ、とか思い出しました。

また、話せるようになってからも経験不足ゆえに失敗したり、落ち込んだり、自分はダメだと責めてしまったり、そんな気持ちもたいへん共感できるものでした。

一方で、そういう感じ方もあるんだな、自分とは違うな、本当に人それぞれなんだな、と思う箇所も同じくらい多くありました。

そんなこんなでバーッと読み終えたわけですが、正直なところ「読むのしんどかった……」という感覚がありました。

自分をこれでもかと責め、努力を重ねても上手くいかずに追い詰められてボロボロになっていく姿を見るのは、コミックエッセイ形式とはいえ非常にツラかったです。

しかし、その姿こそモリナガアメさんのリアルだったのでしょうし、そのリアルが描かれているからこそ、場面緘黙の当事者でない方にも「話したくても話せない」ことからくるツラさを理解してもらえるのではないだろうか、と思いました。

そうそう、これは『私はかんもくガール』の記事でも同じようなことを書いたのですが、緘黙に苦しみ、二次障害的に抑うつ状態に陥ってしまっている方にとっては、気が滅入ってしまう可能性もあるため、僕は迂闊に読むことを勧められません。

この記事や他の方の感想記事、またAmazon等のレビューなどをチェックした上で読むか判断していただくのが良いかと思います。

最後に、モリナガアメさんには心から感謝したいです。このような本を描いていただき、本当にありがとうございました。