クロネコメール便の廃止理由は「信書の分かりにくさ」。調べてみたら確かに分かりにくかった。

突然のことで驚きました。ヤマト運輸が「利用者が知らないうちに信書を送ってしまうことのリスクを防ぐため」に3月31日の受付分をもってクロネコメール便の廃止を発表したのです。

そのリスクとは、郵便法違反容疑によって事業者だけでなく送り主(利用者)も取り調べを受けたり書類送検されたりする恐れがあるというもの。

普段クロネコメール便を受け取ることはあっても出したことはなかった僕は、そもそも何故「信書」と呼ばれるものをこのサービスで送ってはいけないのか知りませんでした。

それどころか「信書」とは具体的にどのような定義をされているのかも恥ずかしながら知りませんでした。そこで調べてみたのですが、郵便法及び信書便法に次のように規定されているようなのです。

「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」

これだけだとピンと来ないので、もう少し具体的に。総務省のウェブサイトの「信書のガイドライン」では次のように説明されています。

<特定の受取人>
差出人がその意思又は事実の通知を受ける者として特に定めた者

<意思を表示し、又は事実を通知する>
差出人の考えや思いを表現し、又は現実に起こりもしくは存在する事柄等の事実を伝えること

<文書>
文字、記号、符号等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物のこと(電磁的記録物を送付しても信書の送達には該当しない)

うーん、ますます混乱してきたので「信書に該当するものとしないもの」の一覧を見てみましょう。こちらもまた総務省のウェブサイトの「信書のガイドライン」によるものです。

【信書に該当するもの】
◇の付いている項目は総務省における個々の相談において判断された事例

書状
請求書の類
 【類例】納品書、領収書、見積書、願書、申込書、申請書、申告書、依頼書、契約書、照会書、回答書、承諾書、◇レセプト(診療報酬明細書等)、◇推薦書、◇注文書、◇年金に関する通知書・申告書、◇確定申告書、◇給与支払報告書
会議招集通知の類
 【類例】 結婚式等の招待状、業務を報告する文書
許可書の類
 【類例】 免許証、認定書、表彰状
 ※カード形状の資格の認定書などを含む
証明書の類
 【類例】印鑑証明書、納税証明書、戸籍謄本、住民票の写し ◇健康保険証、◇登記簿謄本、◇車検証、◇履歴書、◇給与支払明細書、◇産業廃棄物管理票、◇保険証券、◇振込証明書、◇輸出証明書、◇健康診断結果通知書・消防設備点検表・調査報告書・検査成績票・商品の品質証明書その他の点検・調査・検査などの結果を通知する文書
ダイレクトメール
 ・文書自体に受取人が記載されている文書
 ・商品の購入等利用関係、契約関係等特定の受取人に差し出す趣旨が明らかな文言が記載されている文書

【信書に該当しないもの】
◇の付いている項目は総務省における個々の相談において判断された事例

書籍の類
 【類例】新聞、雑誌、会報、会誌、手帳、カレンダー、ポスター、◇講習会配布資料、◇作文、◇研究論文、◇卒業論文、◇裁判記録、◇図面、◇設計図書
カタログ
小切手の類
 【類例】 手形、株券、◇為替証書
プリペイドカードの類
 【類例】 商品券、図書券、◇プリントアウトした電子チケット
乗車券の類
 【類例】 航空券、定期券、入場券
クレジットカードの類
 【類例】 キャッシュカード、ローンカード
会員カードの類
 【類例】 入会証、ポイントカード、マイレージカード
ダイレクトメール
 ・専ら街頭における配布や新聞折り込みを前提として作成されるチラシのようなもの
 ・専ら店頭における配布を前提として作成されるパンフレットやリーフレットのようなもの
その他
 ◇説明書の類(市販の食品・医薬品・家庭用又は事業用の機器・ソフトウェアなどの取扱説明書・解説書・仕様書、定款、約款、目論見書)、◇求人票、◇配送伝票、◇名刺、◇パスポート、◇振込用紙、◇出勤簿、◇ナンバープレート

いかがでしょうか。かなり細かく区別されている上に、その境界線もあいまいな感じがしますよね。確かにこれは分かりにくいような気がします。

管轄の総務省への個々の相談によって判断されたものもありますが、その総務省窓口でさえ問い合わせに対して即答出来ないという事例も多く発生しているとのこと。

このような状況なので、利用者が知らずに信書をクロネコメール便で送ってしまうという可能性があることは想像に難くありません。

そこでヤマト運輸はこれまで荷受けの厳格化に努めたり、政府の専門委員会に郵便法違反の判断基準を「(信書かどうかの)内容物」ではなく判断の容易な「外形基準」に改める等の提案を行ったりしてきました。

しかし、なかなか改革が進まず利用者のリスクも防ぐことが出来ないという状況に。そんな現況を勘案しクロネコメール便の廃止を決定した、というのが今回のヤマト運輸の発表でした。

「小さな荷物を送るのにクロネコメール便を使ってたのに!」という方もいるとは思いますがご安心を。4月1日から小さな荷物を送るための新サービスが始まるようです。

その詳細は以下のリンクからどうぞ。今回の決断に至った理由についても詳しく記載されています。

クロネコメール便の廃止について|ヤマト運輸

また、「信書」について詳しく知りたいという方は以下のリンクからどうぞ。「信書に該当する文書に関する指針」のpdfやQ&A集がありますよ。

総務省|信書便事業|信書のガイドライン